THE FLOWER GARDEN
桜の章21
その夜、日向が貴丹舎に戻ってきたのは、夜遅くになってからだった。
騎士たちも眠っている時間で、ただ一人相川だけが日向の部屋の前で立っており、日向を見とめると、姿勢を正した。
「おかえりなさいませ、隊長」
いつものように穏やかな口調の相川を無視して、日向は部屋へと入っていく。
相川が慌てたように日向を追いかけた。
「隊長？」
「悪いが疲れている。今日はもう下がってくれないか」
日向はそれだけ答えると、着ていた上着を椅子に投げて、ベッドに身を投げるようにして横になった。だが、相川は出て行こうとはしない。
「隊長。今日しずか様が、事件を起こされまして」
「しずかが？」
「はい。相手は貴緒様です。実は―」
話をしようとしたところで、それを日向が短く遮った。
「いい」
「…隊長？」
日向は寝返りをうち、相川に背を向けた。
「眠らせてくれるか、相川。話は明日にでも聞かせてくれ」
背中越しに、わかりましたという相川の声を聞いたところで、日向は心の中でため息をついた。
実のところ、体は疲れてなどいなかった。
ただ、この貴丹舎に戻ってくるのは、ひどく心の重いことだった。
水仙が慌しくしている時、日向はずっと楓子爵である桔梗の宮で、のんびりと一日を過ごしていた。
偶然にも、初めて立ち寄った桔梗の宮の館は、ほどよく静かで、周りに植えられた楓の木々の葉が風にそよぐ音すら、日向の耳に届くほど穏やかだった。
前もって準備をしていなかったらしく、初め桔梗の宮は姿を出さずに、日向は御簾越しに面会をした。一通り先日のお礼を言われた後で、桔梗の宮は侍女の睡蓮たちと共に、お礼と称して音楽を奏でることになった。
琴と三味線のたおやかな音楽と、合間に聞こえる木々のざわめき。それらは、ざわついていた日向の心を、優しくなだめてくれた。
何曲か聞いた後で、日向は徐に立ち上がると、桔梗の宮の御簾の前に立ち、深く礼をした。
「桔梗の宮。有難うございました。おかげで私の心も、宮の奏でる音楽のように、安らかになることができました」
そう言って、立ち去ろうとすると、御簾から慌てて桔梗の宮が姿を現した。
「あの、日向」
後ろで睡蓮が慌てているのが見えたが、桔梗の宮はそれを気にする様子もなく、日向の側に駆け寄ってくる。準備をしていなかったというのは本当のようで、桔梗の宮は口に紅も差していなければ、化粧は一切していないようだった。
ただ、それでも十分に美しいと、日向は思った。
「よろしければ、お食事もいかがかしら？美味しいお菓子も昨日取り寄せましたの」
何より、まっすぐに日向を見つめる潤んだ瞳が心地よかった。
「あの、甘いものは、お嫌いだったかしら？」
答えない日向を不安に思ったのか、そう桔梗の宮が尋ねる。日向はゆっくりと首を振った。
「いえ。では、お言葉に甘えさせていただきます」
食事が終われば、カルタ遊びを。
それが終われば、他愛もない話を。
それも尽きた頃には、夕食となり、気づけば夜深い時間になっていたのだ。
桔梗の宮は、本当に少女のようなあどけなさと、そして椿の宮にも通じる品格と控えめな性格であった。
この桜王宮において、このような女性がいることは珍しいと日向は思いながら、猫と戯れるそんな桔梗の宮を見つめていた。
その猫は、迷い猫らしく、つい先日桔梗の宮が拾ったのだという。
この前の猫の兄弟なのだろうか、と思っていると、ひらひらと舞い降りてきた楓の葉が、桔梗の宮の髪についた。
「宮」
日向はそれだけいうと、そっと桔梗の宮に手を伸ばした。手に取った楓の葉は、するりと桔梗の宮の髪から離れた。
「あ、ありがとう。
日向…？」
日向がじっと見つめていたからか、桔梗の宮は顔を赤らめてそう聞き返す。日向は手にした楓の葉をそっと床に置きながら尋ねた。
「宮は、髪は伸ばさないのですか？」
「え？」
「綺麗な髪だから、風になびけば、さぞかし美しいだろうなと思ったのです」
僅かだが、桔梗の宮が息を呑むのが、日向にはわかった。
傷つけたのかもしれないと、日向は丁寧に頭を下げる。
「出すぎたことを。失礼しました」
「いえ」
だがそう答える桔梗の宮の頬が強張っている。
話を変えようとした日向より先に、桔梗の宮が逆に日向に質問をした。
「日向は、髪の長い女が好きなの？」
桔梗の宮の髪は、僅かに耳にかかる程度に短く整えられてある。それは、楓子爵として外見を男と偽っているためだ。
桜王宮の女性はすべて髪が長い。
そしてそれが、ひとつの美の基準でもあり、女性としてのステイタスでもあった。
だが、日向はそういったことは、気にしたことはなかった。
「いえ、そういうことは。ただ、強くしなやかな髪は、触れていて心地よいですね」
そう答えた後に、髪だけは黒く、艶やかなしずかを思い出して、小さなため息をついたのだった。
そうして、今もまた、そのことを思い出して日向はため息をつく。
階上にはしずかがいるはずなのだが、静まり返ったその中で、物音なども伝わっては来ない。
『しずか様が、また事件を』
『相手は貴緒様です』
おそらく大きな問題になるであろう。
だが、日向は話を聞く気にはならなかった。
疲れてしまったのだろう。
多くのことに。
左右に大きく広げた腕をさらに伸ばし、日向は右手を開いて見つめた。
鈍く光るペンダントが、そこには輝いている。だが、日向はそれを握りつぶすようにすると、ぎゅっと目を瞑った。
だから、今くらいは安らかに、眠りたい。
ただそれだけだ。
どこなんだ、ここ。
静かな月明りの下で、怒りのままに地面を踏み鳴らすように歩いていたしずかは、気づけば全く知らない場所を歩いていた。あたりは鬱蒼とした木々が立ち並んでいる。
そろそろ、戻らないとまずいな。
だけど、どうやって？
そう思い始めたしずかに、聞き覚えのある声が話しかけた。
「また、激しくやりあったそうだね。貴緒様と」
振り返ると、やはり夏目がいた。
しずかはほっと安心して、答える。
「そういう言い方すんなよ。だってあたしは、雅が…。雅が、殺されるかと思ったんだ。貴緒に」
夏目はそれを聞いて、僅かに微笑む。
「佳乃様の死は、確かに突然ではあったけれど、以前から囁かれていたことだったよ。体の弱い方であったし、それにあの時はひどく体をこわされていたんだ」
「けど有世が、佳乃を殺したのは自分だって言ったんだ。
貴緒の嫉妬が、佳乃を殺したのなら、有世がその原因は自分だと思っても不思議じゃねぇだろ」
「陛下がそのようなことを…」
驚いたように夏目がそう答える。
しずかは視線を落とした。
「…有世。悲しそうな顔してた」
それ以来、何も語らなくなった有世のことを、しずかは思い返す。
最愛の人が死んだ。
しかも、自分のせいで。
悔やんでも悔やみきれない、背中には重い十字架を背負い、それでも自分は生き続けている。
そうなったら、あたしは、生きていけるだろうか。
「しずか、それは少し意味が違うのではないか？」
夏目がそう言って、思わずしずかは、顔を上げて、その答えを求めた。
「おそらく陛下は、こうおっしゃりたかったのだと思う。
佳乃様の心身をすり減らして、結果命を縮めたのは、自分なのだと」
「どういう意味だ？」
「聞いたことがあるだろう。わが姫が、以前妃候補としてこの桜王宮に参った話」
それゆえに、白鳥華夜乃は、今回の妃選びの最有力候補であった。
それはしずかも知っている。
「それまで、陛下の王妃は、佳乃様だけであった。もちろん、椿の宮様方はいらしたが、すべて側室扱いだった。そこに、わが姫をねじ込もうとしたのが、薔薇組の前隊長だった。
今まではそういう話を、陛下も断っていたのだが、どうしてか姫においては、受け入れたのだ、陛下は。
だが、いざ入宮という時になって、姫と日向が、陛下を裏切った」
あの日を境に日向は変わってしまったのだと、夏目は思った。
「今ならば、もしかしたら、と思うことがある。
陛下は、もしかしたら、一旦は引き受けてしまった姫の存在が、後になって佳乃様を苦しめていることに気づいたのかもしれない。そうして、日向に姫を引き取るよう頼んだのかもしれない」
「日向に？けど、あいつが命令にそんな簡単に従うような性格か？」
心の読めない日向が、いくら相手が有世であれ、誰かの指示を素直に受けるような性格には、しずかには到底思えなかった。
「しずかはわからないかもしれないが。日向は陛下に対しては、絶対的に従う。それこそ、花族たちは反発するが、陛下の勅令ならばおそらくなんでもやる。
そういう真摯な忠誠心を持っている」
真摯、と聞いて、しずかはヨネの言葉を思い出した。
『毎週、愛する人の為に薬をとりに来ては、もって行っていた。雨の日も、嵐の日も、変わらず。それを真摯といわず、なんと言う』
「違うんじゃねぇの？」
驚いた夏目が、しずかを見返す。しずかは、珍しく淡々と話した。
「日向が守りたかったのは、華夜乃でもなくて、有世でもなくて、森宮佳乃だった」
僅かに強張る夏目の表情を、しずかは見逃さなかった。
「聞いたんだ。この前。二人は想いあっていたんじゃないかって噂。
でも、そうだとしたら、全てが繋がる気がするんだ。
華夜乃を連れ去ったのは、有世の為じゃなく、森宮佳乃の為だし、
あたしをこうして妃候補にしたのだって、森宮佳乃を間接的にでも、殺した有世への復讐なんじゃないかって」
しんしんと、二人の周りに冷たい空気が降りてきていた。
黙りこんだ夏目に、しずかはたたみかける様に尋ねた。
「夏目だったらわかるんじゃねぇのか？日向の近くにいたんだろう
薔薇組で、日向と華夜乃の傍に。
有世と、森宮佳乃とも会ってたんだろう？」
黙りこんでいた夏目だったが、ふいに気づいたように尋ね返した。
「…気になるのか？日向と佳乃様のことが」
慌てたのは、しずかの方だ。
「別に気になるとかそんなんじゃなくて…」
珍しくしずかが言葉を詰まらせた。それが、逆に夏目を戸惑わせた。
沈黙が続き、さすがに夏目が話題を変えた。
「その後、百合の姫とは？」
雅の話になって、しずかはくるりと夏目に背を向けた。
「…もう、いいんだ。雅とは。
雅は、あたしのことが嫌いなんだよ。目障りなんだよ。妃候補の姫ってことでさ。有世の恋敵だから」
「どうして、後ろ向きなんだ。しずからしくない」
「だって雅は―」
「百合の姫と話はしたのかい？二人で」
それは、以前雅とのことで悩むしずかが、夏目と約束したことだった。
それなのに、現実は、逆の方向に動いている。
「…無茶言うなよ。そんなこと、できるわけねぇだろ。速水が許すわけないし」
第一、 雅が望まない。
しずかは辛うじて、その言葉を飲み込んだ。
しずかとて、わかっていたのだ。
もう雅が、以前の雅ではないことくらい。
ただ、認めたくなかっただけ。けれど、今日の雅の視線が、言葉が、体が全てが、自分を拒否していることを、しずかは認めざるを得なかった。
俯くしずかに、夏目の優しい声がふりかかる。
「そうやって、誰もが見放した猫を助けたのは、しずか。君じゃなかったのか」
「夏目…」
「とにかく、一度会ってみたほうがいい。話さずに、想像で物をいっても本当のところはわからないものだから」
しずかは、無言で頷いた。
「相川。着いてきてもらいたいところがある」
朝一番にそういわれた相川は、驚いたが、はいと笑顔で答えた。
思い返しても、着いてきてほしいとしずかに頼まれたのは初めてのことで、それだけ自分が信頼されたのかという誇らしい気持ちになったのだ。
貴緒に対して、何らかの返答をしなければならないというのに、日向は朝早くに、有世からの召集を受け、桜稜殿に向っており、
もう一人の副隊長・石崎は、体調不良とかでまだ床についていた。
だが、浮かれた気持ちの相川は、しずかに付き従って馬車からその場所に下り立った時、思わず息を呑んでしまった。
白亜に煌く荷葉舎は、現在は百合組の宿舎でもある。
目の前には、当然のごとく無表情の百合の騎士たちが立ち並んでいた。
思わずやってきた馬車に戻りたくなる相川の前で、しずかは、よしっと呟くと、大きな声で言った。
「たのもう！」
朝の桜稜殿は、いつにも増して静かだった。
その中を近衛に付き従い有世の前に通されたとき、目の前の有世の表情を見て、思わず日向は息を呑んだ。
「遅くなりまして」
何とか、そう答える。
自分でも珍しいとは思うが、日向は動揺していた。それは、単なる予感でしかなかったが、明らかに有世の表情から読み取れたのだ。
ついに、来たのだ、と。
「わざわざ早くに悪かったな、日向」
背後からは陽の光が差し込み、その柔らかな微笑をいっそう温かいものにさせ、その眩しさに、思わず日向は頭を下げた。
「いえ」
日向は短くそう答えてから、自ら話を切り出した。
「昨日のことでしょうか。
貴緒様には私からお詫びを―」
「日向」
平伏していた日向は、口を止める。
柔らかで、だが強い意志のある有世のはりのある声が、寝殿に響き渡っていた。
「頼みがある」
「何なりと」
日向はごくりと唾を呑み込んだ。
遠くで、木々たちがざわめく音が聞こえた。
「私に、しずかをくれないだろうか」
しずかが目の前に立つ百合の騎士をぐっと睨みつけると、相手は一瞬怯んだものの、ゴクリと喉を鳴らし、同じ言葉を繰り返した。
「ですから、何度も申し上げております通り、姫はお会いしたくないとのことですので、どうかお引取り下さい」
いい加減にしろと思っているのは、お互い様なのであろう。
先ほどからこの押し問答が、しずかと、そして百合の門番をしている騎士との間で続いていた。
「だから、それは本当に雅が言ってるのかわからねぇじゃん。だから、雅を連れてきてくれって言ってんの。それで、本人の口から同じ言葉が出てきたら、大人しく帰るからさ」
「ですから、姫様は―。碓井副隊長」
門番の騎士は、自分の背後に別の騎士が現れたことに気づいて言葉を留めた。服装からいっても、その男の方が上位にあるらしく、また『碓井』と呼ばれた男を、しずかは何度か見たことがあった。
いつも雅の横にいて、付き従っていた百合の騎士。
つぶらな瞳が、じっとしずかを値踏みするように見ていた。
「あんたは？」
身構えてそう尋ねると、騎士は軽く敬礼をした。
「百合組副隊長の碓井です。
生憎、隊長の速水は出払っており、また姫は体調が優れないとのことで、すみませんが、本日はお会いできません」
「体調って、まさか…」
やっぱり貴緒のお茶に、と考えたしずかの心を見抜いてか、碓井は冷静に答える。
「いいえ。昨日の一件とは関係ございません。ご安心ください」
「そっか」
「お引取り、いただけますか？」
碓井はそう言って、ただじっとしずかを見つめた。
その眼差しは、速水のような軽蔑でもなく、押し問答をしていた騎士のような無理やりなものでもなかった。
まあ、すぐに会えるとは思ってなかったし。
しずかは軽くため息をついて答えた。
「雅に、お大事にって伝えてといてくれるか」
「はい、承知致しました」
「それから、これ」
差し出された封筒に、戸惑ったのは碓井だった。
なかなか受け取ろうとしない碓井に、しずかは手紙を押し付けて渡した。
「雅に渡しておいてもらいたい。あんたなら直接渡せるだろうから。
それに、あんたなら。少なくとも雅に渡さないで、手紙を捨てることしなさそうだしな」
小さな瞳が、僅かに動いた気がした。
「それじゃ」
しずかはそういうと、踵を返し、自分の乗ってきた馬車に戻った。その後を、相川が慌てて追いかけて行った。
黙りこんでしまった日向に、有世は話を続けた。
「通常、騎士団の姫というのは、騎士たちの指揮を高める存在であろう。ならば、姫がいなくなるというのは、おそらく騎士たちにとっても、寂しいことだ」
有世の言葉は最もだった。
従来、騎士団の姫というのは、そういう存在だ。
そして同時に、隊長の恋人となることも多い。
だが、今回は違う。
「くれるもなにも、しずかは陛下の妃候補です。その為に選んだ者です」
そもそもが、隊長も、皇帝陛下の家臣。
主君の命令には絶対服従の関係である。
何故このような話をしているのか、考えに悩む日向に、有世ははっきりと答える。
「だが、私は。
お前に許してもらいたいと思ったのだ。
しずかを、妃にすることを」
その瞬間、日向は有世の顔から、露骨に顔を逸らした。
有世が何を言いたいのか、
何故に自分の許しを乞うているのか。
その時日向は理解したのだ。
かつての二の舞を踏まないようにという、それは有世の気遣いであった。
日向の動揺に気づいた有世は、そのまま立ち上がると、窓の外を眺めた。
「花族たちが、それぞれに動いているであろうことは、私も気づいている。
その中に、しずかを排除する動きがあることも、わかっている。
だが、私には、しずかが必要なのだ。
しずかがいてくれれば、私は強くなれる」
答えない日向に、有世は話を続けた。
「正式な決定を出す前に、もちろん色々調整ごとが必要にはなる。
だが、私の気持ちは変わらない。
それをお前に伝えておきたかった」
日向は再び、平伏して答えた。
「承知、いたしました」
遠くで、木々のざわめく音が、再び聞こえてきた。
ちょっと寄るところあるからと言って、しずかは貴丹舎に戻る途中で、馬車から降りた。
自分が降りるので姫が馬車を使ってください、と言う相川を無視して、しずかは、全速力で走っている馬車から、ひらりと飛び降りてしまった。
雅には会えなかったが、手紙を渡せたという充実感が、しずかの身を軽くしていた。
夏目に、話に行こう。
しずかは何も考えずに、そうして花琳舎に向って歩き出していた。
足を止めたら、なかなか動かすのが苦手なしずかだが、動き出したら、あとはひたすら前に進んでいけばいいことを、しずかは知っている。
その足取りも軽やかだった。
しかも、鼻歌交じりにあるいていると、背後に気配を感じた。
「誰だっ？」
だがその声は、音にならずに、背後から伸びてきた手によって、塞がれた。
まずいっ。
しずかがそう思った瞬間、薬品の強い匂いを嗅がされ、しずかはあっという間に意識が薄れていった。その中で、濃厚な甘い香が一瞬鼻を掠めたものの、それが何の匂いなのかを思い出す前に、しずかの意識はぷつりと途絶えた。